心音図(PCG:phonocardiogram)

看護師のための検査値の解説書『検査値早わかりガイド』より。

 

今回は、心音図(PCG:phonocardiogram)について解説します。

 

江口正信
公立福生病院部長

 

心音図(PCG:phonocardiogram)の基準値

 

  • 心音図(PCG:phonocardiogram)の基準値

 

〈目次〉

 

心音図の定義

心音図とは、心臓が収縮・拡張するときに発する弁・心筋・血流などの音を、高性能マイクロフォンを通して記録したものである。 

 

一般の聴診と同じように胸壁上から、聴診器の代わりにマイクを使って記録されるが、聴診器とは異なり客観的な診断を行うことができる。

 

正常心音

正常心音はⅠ〜Ⅳ音に分類されるが、健康成人ではⅠ音とⅡ音しか確認できないことが多い。

 

Ⅰ音

心室収縮時に起きる音:おもに僧帽弁閉鎖音、大動脈弁開放音

 

Ⅱ音

心室拡張の始まりに起きる音:おもに大動脈弁閉鎖音(ⅡA)と肺動脈弁閉鎖音(ⅡP)

 

Ⅲ音

心室拡張期の終わり:心室筋の伸展による音

 

Ⅳ音

心房収縮音:Ⅰ音の直前

 

図1心音図・心電図の時間的関係

心音図・心電図の時間的関係

 

図2音の成分と聞こえやすい位置

音の成分と聞こえやすい位置

 

 

異常心音

亢進

Ⅰ音・Ⅱ音が亢進する(大きくなる)場合、それぞれの音の成分となる弁に血液量の増大などの負荷がかかっていることが考えられる。

 

表1亢進

亢進

 

分裂

表2分裂

分裂

 

房室弁開放音(OS)

僧帽弁狭窄症

 

拡張早期奔馬音

Ⅲ音が病的に強くなったもの。僧帽弁閉鎖不全症

 

心房性奔馬音

Ⅳ音が病的に強くなったもの。高血圧性心疾患

 

図3僧帽弁狭窄症(弁膜の変形○)

僧帽弁狭窄症(弁膜の変形○)

 

図4心房中隔欠損症(欠損孔→)

心房中隔欠損症(欠損孔→)

 

 

心雑音

Ⅰ音とⅡ音あるいはⅡ音とⅠ音の間に生じ、弁膜疾患など重要な意義をもつ。

 

図5心雑音

 

収縮期雑音

図6駆出性収縮中期雑音

①駆出性収縮中期雑音

 

図7全収縮期雑音(逆流性雑音)

②全収縮期雑音(逆流性雑音)

 

図8収縮後期雑音

③収縮後期雑音

 

図9漸減性収縮期雑音

④漸減性収縮期雑音

 

拡張期雑音

図10拡張中期・前収縮期雑音

⑤拡張中期・前収縮期雑音

 

図11拡張中期雑音(心室性充満性拡張期雑音)

⑥拡張中期雑音(心室性充満性拡張期雑音)

 

図12前収縮期雑音(心房収縮性雑音)

⑦前収縮期雑音(心房収縮性雑音)

 

図13逆流性拡張期雑音

⑧逆流性拡張期雑音

 

連続性雑音

図14連続性雑音

⑧逆流性拡張期雑音

 

 

心音図に関わる看護のポイント

検査時の注意点

  1. とくに前処置を必要としないが、乳幼児では検査がスムーズに進まないので、鎮静薬を与薬することもある。
  2. 心音・心雑音が患者自身に聞こえ、不安が増大することがあるので、必要に応じて言葉をかけ、不安の軽減をはかる。
  3. 聴診、心音図で心疾患を疑ったときは、心エコー検査などを行う。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 検査値早わかりガイド 第2版』 (編著)江口正信/2014年3月刊行/ サイオ出版

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