せん妄の治療薬は内服薬がほとんどだけれど、絶飲食中はどうするの?

『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』より転載。

 

今回は「絶飲食中のせん妄治療薬」に関するQ&Aです。

 

林皓章
大阪市立総合医療センター精神神経科医長
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長

 

せん妄の治療薬は内服薬がほとんどだけれど、絶飲食中はどうするの?

 

経口投与以外、静脈内投与可能な薬剤はハロペリドールです。

 

〈目次〉

 

状況に応じて静脈内投与を

唯一、静脈内投与可能な薬剤はハロペリドール(セレネース )です。1〜2A(5〜10mg)ずつ持続点滴に混ぜるか、50~100mLの生理食塩水で希釈して点滴投与します。心電図でQTc延長や心室性不整脈などを観察する必要があります。

 

睡眠リズムをつけるためにも夕方以降に投与量が多くなるように設定することが望ましいです。

 

原因検索のための頭部精査(CTやMRI)等で静止を必要とする場合、ハロペリドールの点滴のみでは鎮静を得ることが困難なことがあります。その際、せん妄自体の治療には好ましくないベンゾジアゼピン系薬剤を使用せざるを得ないことがあります。具体的には、ミダゾラム(ドルミカム)やフルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース)を使用します。

 

各薬剤1〜2Aを生理食塩水で希釈し計20mLとし、目視下に入眠するまで緩徐に静脈投与を行います。なお、呼吸抑制のリスクがあるためSpO2 の測定は必須であり、呼吸抑制が発現した際は迅速にフルマゼニル(アネキセート)の投与を行ってください。バッグバルブマスクの携行も忘れないでください。

 

点滴ルートの確保が困難な場合

興奮が非常に強く点滴ルートを確保することすら困難な場合は、セレネース筋肉注射(0.5~1A/2.5~5mg)があります。海外ではミダゾラム(ドルミカム)を舌下投与あるいは点投与(0.5〜1A)することがあります。その際、鎮静がかかるのに5~15分要します。

 


[文献]

  • (1)八田耕太郎:せん妄の治療指針.星和書店,東京,2005:37-38.

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社

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