脳出血に関するQ&A

『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は「脳出血」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

〈目次〉

 

脳出血ってどんな状態?

出血は、脳実質内の細い血管が破れて、脳実質内に出血が生じた状態です。脳内出血ともいいます。出血によって神経線維などが損傷され、機能障害が出現したり死に至ることもあります。

 

脳出血って何が原因なの?

脳出血の原因の大部分は高血圧です。長期間に及ぶ高血圧のために細小動脈壁がもろくなり、微小動脈瘤が発生します。その微小動脈瘤が血圧の上昇によって破裂し、出血します。出血の好発部位は脳深部です。最も多いのは被殻(ひかく)で40%、次いで視床が30%、大脳皮質、小脳がそれぞれ10%です。

 

高血圧の他、脳動静脈奇形、ウイリス動脈輪閉塞症なども脳出血の原因になります。

 

メモ1脳動静脈奇形

脳の動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながっている先天性異常。動静脈奇形の部分では、血流が異常に速く、また血管壁が薄いために破れやすく、破れると脳出血やくも膜下出血になる。

 

メモ2もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)

両側の内径動脈末端部に、進行性に狭窄・閉塞が起こり、それに伴って側副血管網(異常な血管網)が形成される病態。血管の狭窄・閉塞により脳虚血、側副血管網の破綻により脳出血が生じる。

 

脳出血によりどんな症状が出現するの?

脳出血による症状は、障害される脳の部位、すなわち出血部位によって異なります(図1)。脳梗塞の症状を参照してください(脳梗塞に関するQ&A参照)。

 

また、出血した血液は血腫になり、その周囲に浮腫が生じます。そのため、脳梗塞と同様に頭蓋内圧が亢進し、さらに脳ヘルニアを起こすこともあります。(脳梗塞が起こるとなぜ頭蓋内圧が亢進するの?

 

図1脳出血の部位と症状

脳出血の部位と症状

 

(川西美沙:脳出血。疾患と看護過程実践ガイドブック。改訂版、p.455、医学芸術社、2007より改変)

 

脳出血の特徴的な検査所見は?

CT検査において、発症当初から血腫の部分が白く映し出されます。脳梗塞は梗塞部位が黒く映し出されるため、脳梗塞との鑑別も容易です。

 

脳出血にはどんな治療が行われるの?

脳出血の治療では、再出血の防止や出血の拡大を防ぐために、厳重に血圧をコントロールし、止血薬の与薬を行い、血腫が自然に吸収されるのを待ちます。また、脳浮腫を防ぐために高浸透圧利尿薬や副腎皮質ステロイド薬が与薬されます。

 

血腫が大きい場合などは、外科的に血腫を取り除く外科的治療が行われます。外科的治療には、全身麻酔下で開頭して血腫を取り除く開頭血腫除去術と、局所麻酔下で血腫にチューブを挿入して吸引する定位的血腫吸引除去術があります。

 

また急性期回復期、維持期と一貫したリハビリテーションが実施されます。

 

脳出血の看護のポイントは?

脳出血の急性期の看護のポイントは、異常を早期に発見することです。再出血、頭蓋内圧亢進、脳ヘルニアを早期に発見するために、全身状態、バイタルサイン、瞳孔対光反射などを観察しましょう。異常を発見すれば、ただちに医師に連絡します。

 

また、急性期から良肢位の保持、筋拘縮の予防といったリハビリテーションを開始します。

 

COLUMN脳出血の予防対策

脳出血の発症や再出血の予防のために、次の項目について患者指導を行う。

 

①生活習慣の改善

 

  • 過度の塩分摂取を避け、肥満や運動不足を解消する。
  • バランスのとれた食事習慣を維持する。
  • 多量の飲酒は控える。

②高血圧のコントロール

 

  • 高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会、2014)を参考にし、降圧薬治療を行う。
  • 拡張期血圧を90mmHg未満、収縮期血圧140mmHg未満に保つ。高血圧が原因となる脳出血では、拡張期血圧が90mmHgを超える場合は、再出血の確率が高い。

③血清コレステロールのコントロール

 

  • 栄養状態を改善し、血清LDLコレステロール値を正常域に保つ。

 

⇒〔病気のなぜ?〕記事一覧を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』 (監修)山田 幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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