気管支喘息患者さんの聴診音

この【実践編】では、呼吸器内科専門医の筆者が、疾患の解説と、聴診音をもとに聴診のポイントを解説していきます。
ここで紹介する聴診音は、筆者が臨床現場で録音したものです。眼と耳で理解できる解説になっているので、必見・必聴です!
初学者の方は、聴診の基本を解説した【基礎編】からスタートすると良いでしょう。

 

[前回の内容]

気管支喘息の疾患解説

 

今回は、アレルギー性肺疾患である「気管支喘息患者さんの聴診音」について解説します。

 

皿谷 健
(杏林大学医学部付属病院呼吸器内科准教授)

 

気管支喘息の患者さんでは、笛音が聴こえることは覚えていますか?

 

はい。でも、笛音ってどんな音だろう・・・? 笛の音に近いのかな?

 

実際に聴いてみないと難しいですよね。笛音は、主に前胸部の頸部で聴こえる音です。
本コラムでは、4人の気管支喘息の患者さんの症例をもとに、聴診音を紹介します。

 

〈目次〉

 

症例①:気管支喘息の発作が起こっている患者さん(1)

まずは、気管支喘息による発作を起こしている患者さんの症例について簡単に解説します。自分が担当する患者さんだと思って、イメージしてみてください。その後、実際の聴診音を聴いてみてください。

 

【35歳、男性】

 

主訴:昨夜から、夜間の喘鳴が続く。

 

既往歴:15歳時に、副鼻腔炎の手術歴あり。

 

現病歴:数日前から鼻汁、咽頭痛が出現。昨日から咳嗽も出現し、就寝時と明け方に強かった。昨日は喘鳴のため、断続的な睡眠。

 

画像所見:胸部X線では、肺の過膨張所見を認めた(図1A)。右肺野で横隔膜と交わっているのは肋骨前面で第7肋骨である。両側の肋骨横隔膜角(costophrenic angle:C-P angle)が鋭角になっている()。

 

図1気管支喘息の患者さんのX線画像

 

気管支喘息の患者さんのX線画像

 

A:両側の肋骨横隔膜角が鋭角になっています(黒矢印)。
B:両側の肋骨横隔膜角は発作時よりも鈍角になっています(黒矢印)。
青太矢印:横隔膜の上昇・低下を示しています。

 

退院時のX線画像(図1B)は、肺過膨張が改善し、横隔膜と交わるのは第6肋骨で正常位である。また、両側の肋骨横隔膜角は発作時よりも若干鈍角で、該当位置も高い。これは胸腔内圧が高い状態から、通常の状態に戻ったことを意味している。

 

身体所見:SpO2 90%(室内気)、呼吸数 18回/min、血圧 120/70、脈拍 90/min。

 

聴診音:代表的な気管支喘息の副雑音

 

 

ココを聴こう!

ピンク色の部分:「キューキュー」という音。

 

  • 本症例では、吸気、呼気の両方で笛音が聴こえることが特徴です。
  • この笛音は、頸部や胸部全体で聴こえています。

 

 

症例②:気管支喘息の発作が起こっている患者さん(2)

 

次に、気管支喘息による発作を起こしている患者さんの症例について簡単に解説します。自分が担当する患者さんだと思って、イメージしてみてください。その後、実際の聴診音を聴いてみてください。

 

聴診音:代表的な気管支喘息の副雑音

 

 

ココを聴こう!

1秒~3秒、5秒~7秒:「ピーピー」という音。

 

  • 本症例では、呼気時に特徴的な高い笛音が強く聴こえることが特徴です。鳥が鳴いているような高音ですので、気付きやすいと思います。

 

 

症例③:気管支喘息の発作が起こっている患者さん(3)

 

次いで、気管支喘息による発作を起こしている患者さんの症例について簡単に解説します。自分が担当する患者さんだと思って、イメージしてみてください。その後、実際の聴診音を聴いてみてください。

 

聴診音:代表的な気管支喘息の副雑音

 

 

ココを聴こう!

ピンク色の部分:「ヒューヒュー、キューキュー」という音。

 

  • 本症例では、いくつかの高さの音が混じった笛音が聴こえることが特徴です。

 

 

症例④:気管支喘息の発作が起こっている患者さん(4)

 

最後に、気管支喘息による発作を起こしている患者さんの症例について簡単に解説します。自分が担当する患者さんだと思って、イメージしてみてください。その後、実際の聴診音を聴いてみてください。

 

聴診音:代表的な気管支喘息の副雑音

 

 

ココを聴こう!

ピンク色の部分(3秒~5秒・8秒~10秒):「キューキュー」という音。

 

  • 本症例では、呼気時に強い笛音が聴こえることが特徴です。
  • 8秒~10秒のあたりでは、いくつかの高さの音が混じった笛音が聴こえます。これは、少し低い連続性雑音で、海の中をクジラが泣いて交信している音と似ています。

 

 

ナースへのワンポイントアドバイス

 

笛音は1種類の音だけでなく、さまざまなバリエーションがあることを理解しましょう。

 

軽症時の発作は、強制呼気を行い、頸部または胸部で笛音が聴こえるかどうかを確認しましょう。

 

 

Check Point

  • 気管支喘息の患者さんでは、キューキュー・ピーピーといった笛音が聴こえる。

 

 

[関連記事]

 

 

*聴診音は、筆者が実際の症例で収録したものです。そのため、一部で雑音も入っています。

 


 

[執筆者]
皿谷 健
杏林大学医学部付属病院呼吸器内科講師

 

[監 修](50音順)
喜舎場朝雄
沖縄県立中部病院呼吸器内科部長
工藤翔二
公益財団法人結核予防会理事長、日本医科大学名誉教授、肺音(呼吸音)研究会会長
滝澤 始
杏林大学医学部付属病院呼吸器内科教授

 


 

協力:株式会社JVCケンウッド

 


 

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