成長ホルモン(GH:growth hormone)|ホルモン | 検査値早わかりガイド
看護師のための検査値の解説書『検査値早わかりガイド』より。
今回は、成長ホルモン(GH:growth hormone)について解説します。
江口正信
公立福生病院部長
〈目次〉
- 成長ホルモン(GH:growth hormone)の定義
- 成長ホルモン(GH:growth hormone)の異常とその原因
- 成長ホルモン(GH:growth hormone)と他の検査との関連性
- 成長ホルモン(GH:growth hormone)の検体の取り扱い
- 成長ホルモン(GH:growth hormone)に関わる看護のポイント
成長ホルモン(GH:growth hormone)の定義
成長ホルモン(GH)は、下垂体前葉の成長ホルモン分泌細胞から分泌されるペプチドホルモンで、この分泌は視床下部から分泌された成長ホルモン分泌促進因子(GRF)と成長ホルモン分泌抑制因子(GIF)によって支配され、成長促進や生体内の代謝の調節に関与するホルモンである。
おもに以下の所見があるときに行われる検査である。
成長ホルモン(GH:growth hormone)の異常とその原因
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高 |
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基準値 | 成人♂:0.64(ng/mL)以下(CLEIA法)※ 成人♀:0.11~3.90(ng/mL)(CLEIA法)※ |
低 |
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※小児の基準値は成人より高く、年齢によって変動し、細かく基準値が設定されている。
成長ホルモン(GH:growth hormone)と他の検査との関連性
- ①インスリン負荷試験
- ②グルカゴン・プロプラノロール負荷試験
- ③アルギニン負荷試験
- ④グルコース負荷試験
- ⑤ソマトメジンC(IGF-I)も同時に測定することが望ましい。日内変動の影響を受けないため、1回の測定でGH分泌能を評価できる。
成長ホルモン(GH:growth hormone)の検体の取り扱い
検体は血清で凍結保存可能である。
GH分泌は睡眠、ストレス、運動、薬物服用などの影響を受けるので、早朝の空腹時に安静を保った状態で採血する。
成長ホルモン(GH:growth hormone)に関わる看護のポイント
成長ホルモン分泌に影響を与える因子
看護援助(測定時)
- 上記のような影響を受けやすく、安静のまま検査を受けることが望ましいので、患者の協力が得られるよう十分に説明をする。
- 負荷試験には副作用の強いものがあるので注意を要する。
- 分泌刺激試験などでは、ショックや低血糖を起こす場合もあるので、十分に観察を行い、緊急時に対応できるようにしておく。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 検査値早わかりガイド 第2版』 (編著)江口正信/2014年3月刊行/ サイオ出版