看護師派遣に関するよくある質問

看護師が派遣スタッフとして働く上で気になること、よくある質問にひとつずつお答えしていきます。

Q. 看護師経験が1年しかないのですが、登録できますか?

A. もちろんできます。

看護師の資格をお持ちで、看護師として働いた経験のある方ならどなたでもご登録いただけます。

スキルに自信がない場合は、できる業務を元に求人をご紹介しますのでご安心ください。

Q. 看護師の派遣はいつから合法になったのですか?

A. 平成18年に解禁されました。

以前は禁止されていましたが、平成18年に派遣法が改正され、看護師を含む医療業務の派遣が可能となりました。

日本看護協会のWebサイト別ウィンドウで開きますにも、看護師派遣に関する記載があります。

Q. 看護師派遣のデメリットは何ですか?

A. ずっと同じ職場で働き続けることができないことです。

派遣期間は最大3年と決められているため、ずっと同じ職場でキャリアを積むことができません。

もしも、「派遣で働いて職場のことを気に入ったら、ずっとそこで働きたい」という場合は、派遣期間終了後に正職員/正社員化されることを前提とした『紹介予定派遣』がオススメです。

Q. 派遣で働いていて、人間関係などのトラブルに遭った場合はどうしたらいいですか?

A. トラブルの詳細を記録し派遣会社に連絡を。

人間関係にまつわるトラブルがあった場合、看護師は事実関係を正確に伝えるため、「いつ」「どこで」「何があったか」を必ずメモしておきましょう。

その上で、派遣会社の担当者に連絡を。そこから先の調整は、派遣会社に任せましょう。トラブルが悪化しない穏便な方法で、解決を図ってくれるはずです。

Q. 職場からサービス残業を求められた際はどうしたらいいですか?

A. 「派遣会社との契約上、手当の出ない時間外労働はできない」と伝える。

派遣スタッフに対し、派遣先は残業代などの時間外手当を支払うことが法律で義務づけられています。ですが、中には派遣法にあまり詳しくない人が、知らずにサービス残業を強要してしまうケースも。

事前に残業代が出ない残業を求められた場合も、残業した後でサービス残業にされてしまうような場合も、まず「派遣会社との契約上、手当の出ない時間外労働はできない」と伝えつつ、登録している派遣会社に相談を。派遣看護師へのサービス残業強要は違法行為であるだけでなく、派遣会社にとっても、医療機関側に契約違反を犯されたことになるため、すぐに改善に乗り出してくれるでしょう。

Q. 派遣スタートしたら事前に契約した仕事と異なっていました。どうしたらいいですか?

A. すぐ派遣会社の担当者に連絡を。

派遣看護師は、就業条件明示書などで派遣先の業務内容を知らされた上で契約を締結、派遣就業を開始します。もしも派遣就業スタート後に契約時と業務内容が異なっていると発覚した場合、それは契約違反に当たる業務。すぐ派遣会社の担当者に連絡しましょう。

多くの場合、派遣先の上司や先輩に派遣契約の内容が知らされていなかった、行き違いによって発生するトラブルですので、あとは派遣会社が派遣先と話し合い、解決してくれます。

万が一、派遣会社側に落ち度があった場合には、遠慮なく再発防止と誠実な対応を行うよう、強く求めましょう。担当者に相談しても進展がない場合は、派遣雇用契約書に書かれている派遣元責任者に取り次いでもらうと良いでしょう。

Q. 派遣先で苦手な仕事を頼まれてしまったときの対処の仕方を教えてください。

A. 「できない」と頭から否定せず「やり方を教えていただけますか」と建設的に。

まず、苦手な業務や何らかの理由があって行えない業務・手技がある場合、まず派遣会社に登録する際にしっかりと伝えておきましょう。派遣会社は、そうした事情を加味した上で、派遣先を紹介してくれます。

登録時に伝え忘れてしまい、就業後に苦手な業務にあたってしまったときは、無理に行って患者さんにもしものことがあっては大変です。正直に「あまり経験がないのですが」と伝えた上で「やり方を教えて頂けますか?」と建設的な態度を示すとトラブルにも繋がりにくいでしょう。健康上・宗教上などどうしてもできない業務を頼まれた場合は、派遣会社に相談を。

但し、事前に「あなたは何ができるか」「派遣先は何の業務を求めているか」双方の意志を確認した上で派遣はスタートするのが通常です。もしも頻繁に、事前に知らされていない業務を依頼されるようなら、派遣会社の担当者に相談してみると良いでしょう。

Q. 派遣先から履歴書の提出指示がありました。履歴書の提出は違法では?

A. 派遣会社へまず派遣会社へ連絡を。

原則として、派遣先が受け入れる派遣スタッフを選考することは、法律で禁止されています。従って、派遣就業が正式に決まる前に履歴書を万が一求められたとしても、あなたに提出の義務はありません。すぐに派遣会社に連絡をし、対処してもらいましょう。派遣で働くにあたって履歴書の提出が必要なのは、派遣会社に登録する際に提出するときだけです。

但し、紹介予定派遣の場合は例外です。紹介予定派遣は、派遣期間終了後の直接雇用が前提となるため、派遣就業がスタートする前、面談等の段階で、履歴書の提出が必要になります。

なお、既に派遣就業がスタートした後に派遣先から履歴書の提出を求められた場合は、選考目的には当たらないため、違法にはあたりません。本人が良いと判断すれば、提出しても構いません。

派遣で働くにあたって履歴書の提出が必要な場合は…

  • × 派遣先への就業決定前の提出
  • ○ 派遣会社登録時の派遣会社への提出
  • ○ 紹介予定派遣の場合の派遣先への提出
  • ○ 就業開始後の派遣先への提出
Q. 契約満了前に終了になると言われたら、お給料はその日の分までしか受け取れないのでしょうか?

A. 1ヶ月以上前に宣告された場合は出ません。1ヶ月未満であれば給与の代わりに解雇予告手当または休業手当が支払われます。

派遣法上、派遣会社が派遣スタッフとの雇用契約を打ち切るには、1ヶ月以上前に宣告しなければならないとされています。また、その場合、派遣会社は解雇予告手当もしくは休業手当(平均賃金の60%以上)を派遣スタッフに支払わなければなりません。

従って、給与の支払いはありませんが、代わりに平均賃金の60%以上の手当が支給される、というのがご質問の答えです。

但し、キャンセルの理由が「仕事をしない」「患者の命に関わるミスを犯した」「職場に悪影響を与えている」など、派遣スタッフ側の落ち度によるものの場合は、一般の正職員における「解雇処分」と同じ意味合いで、派遣会社から一方的にキャンセルされる場合があります。

契約満了日よりも早く派遣先から終了を告げられたら、残り期間の日割り給料の6割を受け取る権利がある

契約の満了日まではまだ時間があるのに、派遣先から終了を言い渡された場合は、残り期間の日割り給料の6割が支払われます。また、社会保険も本来の契約満了日まで継続されます。

例えば契約時点では4月1日から6月30日までA病院で派遣として働くことになっていたとします。派遣先の事情で、その看護師は、契約よりも早い5月31日をもって終了を言い渡されてしまいました。

この場合、看護師を派遣している派遣会社と派遣先の間に取り交わされた派遣契約は前倒しで終了になりますが、看護師と派遣会社の間に結ばれている雇用契約は、当初の契約満了日である6月30日まで残ることになります。

この間、派遣スタッフは、労働基準法第26条に基づき、派遣会社から平均賃金の6割以上を休業手当として受け取りながら、すみやかに次の派遣先を探してもらうことになります。また、雇用契約が残るため、加入していた社会保険から即外れてしまうようなこともありません。

契約満了日よりも早く派遣先から終了を告げられた場合の、派遣スタッフ・派遣会社・派遣先企業の関係変化を示した図。派遣先から打ち切られても派遣会社との雇用契約は残る。

派遣スタッフは、「派遣会社との間に『雇用契約』」を結んでいますが、それとは別に派遣先が「派遣先と派遣会社の間の『派遣契約」」を結んでいます。

途中で派遣先から終了を告げられた場合、消滅してしまうのは後者の「派遣先と派遣会社の間の『派遣契約』」のみ。看護師と派遣会社の間に結ばれた『雇用契約』は当初予定の満了日まで残ることになるのです。

契約は2つセットで結ばれている
派遣会社と派遣先の契約期間=派遣会社と看護師の雇用契約期間。

もし途中で今の派遣先を辞めることになった場合は…
派遣会社と派遣会社の契約が切れた後も、派遣会社と看護師の雇用契約は、当初定めた満了日まで残る。

Q. 派遣期間中に妊娠が発覚した場合、仕事を続けることは可能ですか?

A. 派遣会社に報告すれば、続けることは可能です。

妊娠した後も、派遣を続けることは可能です。赤ちゃんができたとわかったら、まずは派遣会社にその旨を連絡しましょう。

ごく稀に、妊娠によって契約内容の業務の一部(ベッドから患者さんを車いすへ移すなどの力仕事)ができなくなったことを理由に「時給を下げてほしい」「別の派遣スタッフに変更して欲しい」と派遣会社に申し出てくる派遣先もありますが、大抵の場合、配慮の上、継続させてくれる場合が多いです。健康状態や赤ちゃんを第一に、無理のない範囲で働きましょう。

但し、産休・育休の取得に関しては、注意が必要です。法的には「1年以上雇用し、かつ生まれてくる子供が一歳の誕生日を迎えたときも引き続き雇用契約があると見込まれている場合は、育休・産休を許可しなければならない」と定められています。

従って、育休・産休の取得には、

  • 最低でも過去一年間は同じ派遣会社と雇用関係にある
  • 生まれてくる子供が1歳を迎えたとき(=出産日の1年後)の派遣先が前もって決まっている

という2点を満たしていなければなりません。派遣スタッフにも育休・産休の権利はあるものの、取得するには高い壁が立ちはだかっています。

Q. 朝礼や委員会への参加、早出を強要されたのですが、行くべきですか?

A. ご自分で判断せず、まずは派遣会社に相談を。

そもそも、派遣看護師は、朝礼や委員会など時間外に行われる各種業務に参加しなくて良い、とされる場合が多いです。これは、派遣スタッフの場合、委員会も朝礼も業務にあたるので、参加してもらうことでその分の給料を支払わねばならないためです。

朝礼や委員会、早出が契約時に取り交わした勤務時間に含まれていない場合は、まず派遣会社に相談してみましょう。ほとんどの場合、派遣先の上司が給与が発生することを知らずに言っていることが多いため、派遣会社から連絡してもらえば、参加せずに済むようになるでしょう。

とはいえ、稀に「その分の給料を支払うから出て欲しい」と言われるケースもあります。いずれにせよ、まずは派遣会社の担当者にまずは相談してみましょう。

Q. 6ヶ月以上ほぼ休まず働いたのに有給休暇が付かないと言われたのですが…?

A. まずは派遣会社に確認を。納得のいく説明を求めましょう

まず第一に、雇用形態に関わらず、6ヶ月在籍し、その間の出勤率が8割以上であれば、所定労働日数に応じた年休を付与しなければならないと、法律で定められています。

6ヶ月以上の長期派遣はもちろん、それ以下の短期派遣でも、同じ派遣会社と継続して契約(※)している期間が6ヶ月を超え、出勤率が8割以上なら、有給休暇を与えなければなりません。

何かの手違いや間違いの可能性もありますから、まずはすみやかに派遣会社に確認を行いましょう。

中には「給料が高い代わりに有給がつきません」などと虚偽の説明を行う悪質な派遣会社もあると聞きます。6ヶ月以上継続して勤務し、かつ8割以上を出勤しているにも関わらず「有給は付かない」と言われるようなら、派遣会社ではなく、労働局に連絡を入れ、改善を要望しましょう。

なお、雇用主には有給の季節移動権という権利があります。繁忙期に連休を取得したり、契約満了月にまとまって有給消化を行うなど、派遣先の現場に大きな支障が出る場合は、派遣スタッフは有給取得日を別の日に振り替えなければなりません。有給の取得は、くれぐれも計画的に。

前の派遣先と次の派遣先の間が1ヶ月以上空かない程度なら、満了後即就業でなくても継続雇用と見なされます。

さいごに 気持ちよく看護師派遣で働くための3つのコツ

派遣の看護師は、派遣法という法律や派遣会社によって守られているため、直接雇用に比べると、トラブルに巻き込まれにくいと言われています。ですが、だからと言って慢心は禁物。最低限、次の3つは意識して振る舞うことが、気持ちよく働く上でのポイントです。

  1. 挨拶をする
    職場の人間関係と距離があるからといって、いつもぶすっと無愛想にしていては、職場での居心地はよくなりません。人間関係の輪に必ずしも積極的に加わる必要はないですが、「おはようございます」「お先に失礼します」といった最低限の挨拶や、元気の良い返事など、感じよく振る舞うようには心がけておきましょう。
  2. 職場ではお給料の話をしない
    職場では、時給やお金に関する話はタブーです。派遣と正職員/正社員とでは、給与額も待遇も異なります。「残業もしていないのにあんなにお給料もらってずるい…」など、正職員/正社員から反感を買わないよう、お金の話は万一聞かれても、そのまま答えるのは避けましょう。
  3. 時間は厳守する
    正職員/正社員の看護師たちは、派遣看護師が時給で働いていることをよく知っています。その分だけ、時間管理に対する目も厳しくなりがち。勝手に休憩を取ったり、遅刻してきたり…といったことで反感を買わないよう、気をつけましょう。

今まで、看護師として働いてきたあなたなら、決して難しいことではないはずです。上記3つを守って、楽しい派遣看護師ライフを送ってくださいね。