看護師の派遣会社の選び方・使い方

派遣の看護師として働くには?派遣の仕事を探す上で欠かせない派遣会社の正しい選び方と、派遣会社を利用する際の流れを解説します。

この記事のポイント

  • 看護師専門の派遣会社の中から中~大規模のところを選ぶ
  • 最低でも資本金1000万円以上・従業員数20名以上・設立後10年以上
  • プライバシーマーク取得の企業がなお良い
  • 派遣会社へは誰でも登録できる
  • 派遣の求職活動には履歴書・面接がない
  • 3ヶ月以内の健康診断受診が必須

1. 看護師派遣会社の選び方

派遣看護師として働くには派遣会社選びから

看護師が派遣として働く方法は、まず、看護師派遣を扱っている派遣会社に登録することです。登録後、希望やスキルに応じて派遣先を紹介してもらうわけですが、どの派遣会社に登録するかによって、求人の種類や豊富さは異なります。したがって、派遣看護師として働くためには、まず派遣会社選びを慎重に行うことが大切です。

看護師におすすめの派遣会社…規模の大きな会社がベター

「離島・僻地に強い」「紹介予定派遣が豊富」「時給が高め」など、派遣会社ごとに特徴や求人が異なりますから、一概に「ここがおすすめ」とは言えません。ですが、新しい会社・小さい会社より、ある程度の実績・規模のある会社を選んだ方が安心と言えるでしょう。派遣会社の中には、従業員が数名しかいない個人経営的な会社も少なくありません。小さな企業は対応してくれる人が限られるため、大きくてしっかりした企業の方が、求人数もサービス力も、個人情報保護体制なども期待できます。

派遣会社の規模を知る方法…サイトの「会社概要」を見る

ホームページの「会社概要」ページを開き、資本金・従業員数・設立年を見てみましょう。ある程度の体制を見越すには、最低でも資本金1000万円以上、従業員数も20名以上は見ておきたいところです。

「会社概要」ページへのリンクは、ホームページの一番下や右上など、目立たないところにある可能性があります。見つからない場合は、「○○○(会社名) 資本金」などで検索してみても良いでしょう。

また、近年情報漏洩のニュースが多く見られます。大切な個人情報を預けることになりますから、プライバシーマークの有無も漏れなくチェックを。第三者機関の厳しいチェックを通過し、個人情報の取扱いが整っていると認められた企業のサイトには、プライバシーマークが掲出されています。

2. 看護師派遣会社の使い方

派遣会社利用時の流れ

派遣会社を利用し、実際の派遣先で就業するまでは、おおむね下記のような流れです。

  1. 登録手続き
  2. 派遣先の紹介
  3. 派遣先との面談
  4. 就業開始手続き
  5. 就業開始
  1. 登録手続き

    webフォームまたは電話で申し込み後、電話または直接派遣会社に行き(来社登録と言います)、派遣で働く際の希望(勤務可能日や勤務時間、仕事内容など)や自分のこれまでの経歴を登録します。

    簡単なスキルチェック(採血経験の有無など)も行われますが、基本的には派遣会社からの質問に答えていけばOK。来社登録の場合、服装は自由。所要時間は1時間前後が一般的です。電話の場合はもう少し短く済むでしょう。

    派遣契約時には筆記用具や印鑑、本人確認書類が必要になるのが一般的です。

  2. 派遣先の紹介

    登録手続きで伝えた内容をもとに、希望・経験にマッチした職場が見つかり次第、派遣会社から電話やメールでお仕事の案内が届きます。この際、派遣会社のwebサイトに求人が掲載されているようなら、自分で検索して見つけることも可能です。

  3. 面談

    派遣先と顔合わせを行います。派遣先に初めてご挨拶をするわけですから、スーツを着ていきましょう。

  4. 就業開始手続き

    紹介された派遣先でOKなら、雇用契約手続きを行います。このとき、派遣会社から派遣をスタートするに当たっての注意事項やアドバイスがあります。

  5. 就業開始

    いよいよ就業スタート。就業開始後は、働いていてトラブルがないか、悩み事はないか、派遣会社の担当者が定期的にフォローしてくれます。

派遣会社への登録は、看護師なら誰でもできる

看護師免許を持ち、実際に臨床現場で働いた経験のある看護師なら、登録にあたって必要なスキルや経験はありません。子育てなどで10年ブランクがある看護師も、新卒で就職して1年以内に辞めた看護師も、派遣会社への登録は可能です。

但し、登録後に働ける派遣先があるかどうかは別問題。派遣は病院にとって「定められた時間内で効率よく働くプロフェッショナル」。中途社員と異なり、入職時の研修も省略されるケースが多いです。あまりにも経験年数が少なすぎる場合や、希望条件が多すぎる場合には、なかなか派遣先が見つからないことがあるかもしれませんが、派遣会社は派遣先の企業に対してあなたのスキルを積極的に売り込んでくれますから、正職員/正社員で転職先を探すよりは、職場が決まりやすい傾向にあると言われています。

看護師派遣では履歴書が不要(派遣先には提出しない)

看護師派遣では、履歴書の提出が不要です。派遣法第26条によって、派遣先は事前に履歴書の送付を要請することができないとされているからです(職務経歴書も同様です)。ですから派遣先が派遣契約を結ぶ前にあなたの履歴書を閲覧することはありません。

派遣先は、履歴書の代わりに、個人を特定できないかたちに加工された“スキルシート”などと呼ばれる特殊な書類で、その人の経験やスキルを事前に確認します。

このスキルシートを作成するのは、派遣会社の仕事。そのため、派遣先には提出しないものの、場合によっては履歴書を派遣会社に提出することもあります。とはいえ、重視されるのは免許・資格欄と学歴・経歴欄。志望動機欄や趣味・特技欄などを埋める必要がないため、通常の転職時よりは手間が掛からないでしょう。

看護師派遣では面接が存在しない

履歴書同様、派遣先が事前に面接等の選考を行うことも、派遣法第26条で禁止されています。派遣の場合は面談といって、下記の目的でいちど派遣先を訪れることになります。

  • 先方との顔合わせ
  • 仕事上の打合せ
  • 労働条件の確認 など

派遣先に面談に行く際は、派遣会社の担当者も一緒に同行し、あなたを派遣先に紹介してくれることが多いです。就業前に先方と会う唯一の機会ですから、服装はスーツで、メイクはナチュラル、髪型も長い場合はまとめるなど、明るく清潔感のある服装で行くことが望ましいでしょう。

なお、法律上、面談は選考ではないとはいえ、派遣先が派遣の受け入れ自体をやめる、あなたよりも先に他の看護師と雇用契約を結んでしまう場合もあるなど、予期せぬ自体で契約に至らない場合も考えられます。選考面接ではないから…と高をくくらず、面談でできるだけ先方と良好な関係を築いておくことが重要です。

なお、直接雇用化が前提となる紹介予定派遣に限っては、事前に面接を行うことが認められています。

派遣法26条第7項

「労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。」

この法律により、派遣先は履歴書を元にした書類選考や事前の面接および年齢や性別を理由とした採用不採用の判断が禁止されています。なお、派遣スタッフによる事前の職場見学・病院見学は問題なく行うことができます。

派遣就業前(3ヶ月以内)の健康診断受診が必須

直接雇用の場合、入職時の健康診断受診が義務づけられていますが、派遣の場合も同様です。

受診のタイミングは雇い入れ時=就業開始時の前後3ヶ月以内とされていますが、多くの病院では看護師が感染症の疑いがないことを前もって知っておきたいため、就業開始前に提出を求められるでしょう。また、前の職場で毎年受診していた人も、それが3ヶ月以内でなければ再度受診の必要があります。

このほか、急性期病棟では、各種予防接種を求められる場合も。

健康診断・予防接種、いずれも費用は一般的には自腹になります。但し、派遣会社によっては一部または全額を負担してくれるケースもあります。

コラム:全ての看護師派遣会社は国の認可を得ている

民間の会社が派遣事業(正しくは「一般労働者派遣事業」)を行うためには、都道府県の労働局を通じて厚生労働大臣に申請を行うことで、許可を得る必要があります。

この際、厚生労働大臣は、会社の登記や役員・責任者の住民票、経営状況、納税状況など…様々な観点から、その事業者が派遣ビジネスを行うに相応しいか、厳格な目で判断します。

派遣会社はこの厚生労働大臣の許可なくしてサービスを提供することができない上、免許の更新を5年おき(取得後初回は3年後)に行うため、定期的に行政のチェックが入ります。そのため、「厚生労働大臣許可」を掲げた派遣会社は、国から一定の信用を得ていると見てよいでしょう。

但し、この許可証の取得には、求人の数や担当者一人ひとりの応対の仕方など、サービスの質はほぼ関係がありません。派遣会社に登録する際は、まず厚生労働大臣の許可を得ている企業かをチェックした上で、別途サービスレベルに目を向ける必要があるでしょう。