看護師が転職する回数は、一般的にどれくらいなのでしょうか?回数が多いと転職で不利になるのでしょうか?

転職回数が多い場合の履歴書の書き方・面接対策についても解説します。

目次

看護師の転職回数は平均どれくらい?多いと不利?

他の職種に比べても、若手のうちから転職する人が多いと言われる看護師。実際のところ、平均的な転職回数はどれくらいなのでしょうか?

また、転職回数が多いと選考で不利になるのでしょうか?

転職回数の平均データは「2回」だけど…?

日本看護協会が会員を対象に行った2021年の調査によると、転職経験のある看護師の転職回数は平均で2回。割合で見ると1回が25.4%で最多です(※)。

しかし、看護roo!のキャリアアドバイザーによると「2回はむしろ少ない」感覚だそう。

採用側の視点で見ると「20代で3回目の転職だと多い印象」とのことなので、こちらの平均データはあくまで参考程度と考えておくのが良いかもしれません。

キャリアアドバイザー

平均的な転職回数は年齢やエリアによっても異なります。

特に都市部のエリアでは求人数が多いため、転職回数も増える傾向にあります。

【看護師の転職回数は平均どれくらい?】日本看護協会のデータでは平均2回。転職市場では「20代で3回以上」で多い印象。エリア差も大きく都市部では多くなりがち。

※出典:2021年 看護職員実態調査|日本看護協会
※元データにある「平均職場数」の「1~2か所」「3~4か所」「5~6か所」「7か所以上」を、それぞれ転職回数「1回」「2~3回」「4~5回」「6回以上」として換算

転職回数に加えて大切な2つのこと

前提として、転職回数が多いことは採用側にあまり良い印象を持たれません

採用側は基本的に「長く働いてもらいたい」と考えているため、転職回数が多い看護師は「理想が高そうだから、ウチでも満足してもらえないだろう」「ちょっとでも不満があれば、ウチもすぐに辞めてしまうのでは?」と思われてしまうからです。

加えて、転職回数が多い場合に大切なのが(1)転職理由(退職理由)(2)直近の勤務先での勤続年数です。

これら2点に納得感があれば、転職回数が多いことのマイナスイメージを挽回できる可能性があります。

それぞれについて、くわしく見ていきます。

1転職理由

転職回数が多い場合、面接では必ずと言っていいほど転職理由(退職理由)についてくわしく聞かれます

その際、採用側が納得できるような説明をすることが大切です。

特に20代~30代は、結婚や出産でどうしても転職せざるをえない状況が訪れることも。

たとえそうした理由で転職回数が増えてしまっても、きちんと事情を説明すれば納得してもらえることがほとんどでしょう。

一方、待遇への不満や忙しさといった、自己都合と捉えられかねないことを理由に短期間での離職を繰り返してしまうと「ウチもすぐに辞めてしまうかもしれない」などと、転職回数がマイナスに映ってしまうこともあります。

くわしい伝え方と例文は「転職理由(退職理由)の伝え方に注意」で解説します。

2直近の勤務先での勤続年数

転職回数が多い場合、転職理由に加えて、直近の勤務先での勤続年数も重視されます

例えば過去に短期間での離職を何回かしている場合でも、今の職場で3年~5年以上勤めていれば、転職回数が多いという印象は和らぎます。

採用側は「かつては短期間での離職が続いたものの、今では腰を据えて働くようになったのだろう」「きっとウチでも長く働いてくれるだろう」と考えるからです。

逆に、過去に長く勤めていた職場があっても、直近で短期間での離職をしている場合「長く勤めていた職場とのギャップに耐えられなかったのだろう」「ウチでもそうなってしまうのでは?」というマイナス評価につながってしまうこともあるようです。

キャリアアドバイザー

直近で短期間での離職をしている人でも、伝え方次第で印象を和らげることができます。不利にならない伝え方について、これから解説していきますね。

転職回数が多い人の履歴書・面接対策

転職回数が多い人が転職活動をする際、気をつけるべきポイントがいくつかあります。

履歴書と職務経歴書・面接に分けて、それぞれ確認しておきましょう。

履歴書・職務経歴書

すべての経歴を記載する

たとえ入職してすぐに辞めた勤務先があったとしても、履歴書や職務経歴書にはすべての職歴を記入しましょう

短期間で離職した勤務先については、書くのが面倒でつい省略したくなるかもしれません。

ただ、職歴の省略は最悪の場合、経歴詐称としてトラブルにつながる恐れがあります

書類上ではわからなくても、いつどこで知られてしまうかもわからないので、職歴のヌケモレには注意が必要です。

キャリアアドバイザー

研修期間や試用期間に退職した職場についても、省略せずにきちんと記入しましょう。

Point!

看護roo!にはスマホやPCで完結できる履歴書作成機能があります。これから履歴書を作成する方は、ぜひ活用してみてください。

履歴書・職務経歴書の作成機能について

職歴が書ききれないときの対処法

転職回数が多く、すべての職歴を履歴書に書ききれない場合には、下記のような対処法があります。

【職歴が書ききれないときの対処法3つ】1:1つの職歴につき一行で書く。2:別の紙に書く。3:職歴欄の大きい履歴書を使う。

例えば1つ目の対処法は、本来であれば別の行に書く「入職」と「退職」の職歴を、1行にまとめてしまう方法です。

そのほか、それぞれの具体的な記載方法については、別記事「職歴が書ききれないときの対処法3つ」で解説しています。こちらもあわせて確認してください。

面接

自己紹介は前向きな思いで締める

面接のはじめに聞かれる自己紹介は、志望先への前向きな思いや意欲で締めるのが鉄則です。

そうすることで採用側にやる気や熱意が伝わり「ウチではきっと長く働いてくれるだろう」というポジティブな印象につながるからです。

また、自己紹介ではすべての職歴についてくわしく話す必要はありません

転職回数が多いと、すべての職歴について正しく伝えようとするあまり、ついダラダラと話が長くなってしまいがちです。

また、退職した経緯などの内容が多くなり、全体としてネガティブな印象になることも。

そうした事態を避けるため、自己紹介では勤続年数の長い勤務先や直近の業務内容についての話を中心に伝えるようにしましょう。

自己紹介の例文

看護るうと申します。○○看護専門学校を卒業後、○○病院□□科に入職いたしました。

そちらで2年ほど働き、専門性を高めようと△△病院に転職いたしましたが、体調不良をきっかけに半年で退職し、その後は一般病院とクリニックの2か所に勤めました。

3年前から現在の▲▲クリニックで働いており、医師の診療補助や採血・点滴を中心に備品整理や受付、清掃など幅広い業務を行っております。

この度は再び病棟に戻り、より多くの業務を経験しながら、看護師としての知識・スキルを高めていきたいと考え、貴院を志望いたしました。本日はよろしくお願いいたします。

キャリアアドバイザー

自己紹介は、話す時間が全体で1~2分におさまるようにしましょう。

転職理由(退職理由)の伝え方に注意

転職回数が多い場合、特に短期離職した職場の転職理由(退職理由)について、くわしく質問されることがあります。

その際、かつての職場に対する不満を正直に伝えたり、責任転嫁をするのはNG

採用側に「他責の傾向が強く、周囲と上手にコミュニケーションが取れない」と判断されてしまうからです。

「自分でも改善の努力をした」点を強調しつつ、反省の態度を示すことで、マイナスイメージを軽減できるでしょう。

転職理由の例文

◯つ目に勤めた◯◯病院では人手不足による長時間労働が常態化しており、シフトの調整をかけ合ったり、担当業務のフローを見直したりしたものの、改善が難しい状況でした。最終的には体調を崩し、やむなく半年で退職いたしました。

直後に勤めた△△クリニックも、身体的な疲労が回復できていなかったせいもあり、長くは続かず3ヶ月で退職することになってしまいました。まずは体調を万全にしようと、退職後は2ヶ月間の療養という決断にいたった次第です。

体調を崩す前にもっと周囲や上司に相談すべきだったと、今では大変反省しております。現在は回復しておりますので、貴院にて看護師としてのキャリアを長期的に築いていきたいと考えております。

キャリアアドバイザー

転職理由について、何をどこまでどう伝えるべきかは、応募先や求人によって異なります

伝え方に迷った場合、看護roo!転職サポートまで気軽にご相談ください。

そのほか「業務内容や看護観のミスマッチ」「忙しさや待遇への不満」など、退職理由別の伝え方例文については、別記事「【例文】看護師の「退職理由」はこれ!退職も面接も伝え方でうまくいく」で解説しています。こちらもあわせてご確認ください。

転職回数が多くなってしまっている人が考えたいこと

人間関係や忙しさを理由に、転職という手段を選ぶことは間違いではありません。

また、看護師のように引く手あまたの業界で働いている場合、辞めても次の職場が比較的見つかりやすいのも事実です。

しかし、その結果として転職回数が多くなってしまった場合、決して良い評価にはつながりません

たとえ慎重に考えた結果でも、転職を繰り返し、その回数が多くなればなるほど、次の職場を探すときの選択肢がどんどん少なくなってしまうのです。

そうならないためにも、転職したくなったときに少しだけ立ち止まって考えたい2つのことがあります。

辞めずに改善できないか考える

転職回数を増やさないためにも、まずは今の職場に対して抱えている不満を辞めずに改善できないか考えることが大切です。

たしかに人間関係や長引く残業など、自分一人ではどうにもできないこともあります。ただ、嫌なことがあったら反射的にすぐ辞めてしまうのでは、どんな職場も長続きしません。

まずは辞めるという選択肢の他に、周囲に相談する上司に部署異動をかけ合うなど、できることがないか考えてみましょう

今の職場を選んだ理由や目標を思い返す

壁にぶつかり辞めたくなったときは、今の職場を選んだ前向きな理由や目標を思い返すことも大切です。

働いている以上、嫌なことをゼロにするのは難しいかもしれません。

ただ、くじけそうなときでも「この施設で◯◯についての知識・スキルを高めたい」「慕ってくれている後輩のためにもかっこいい背中を見せたい」など、自分なりの目標や前向きな思いがあれば、辞めずに踏ん張る力になります。

ネガティブな部分だけではなく、そうしたポジティブな部分にも目を向けることで、本当に転職すべきか、踏みとどまって頑張るべきか、冷静な判断ができるかもしれません。

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