最終更新日 2019/02/19

虚血性心疾患

虚血性心疾患とは・・・

虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん、myocardial ischemia)とは、冠動脈動脈硬化などにより狭窄、あるいは閉塞することで、心臓を栄養する血流が不足(心筋虚血)して、発症する心疾患のことである。

【分類】
虚血性心疾患は、狭心症心筋梗塞、虚血性心不全、致死性不整脈に分類される。

狭心症とは、冠動脈の器質的狭窄や攣縮により心筋を栄養する血流が一時的に不足することで発症する発作を指す。心筋梗塞とは、アテローム性プラークが破綻し、形成された血栓によって、冠動脈が閉塞することで、その冠動脈が栄養する心筋が壊死してしまうことを指す。

【症状】
代表的な症状には、胸痛・呼吸困難などがある。狭心症の症状にもいくつかタイプがあり、労作時など普段より酸素の必要量が増加したときに症状を来すものを労作性狭心症といい、安静時に症状を来すものは、不安定狭心症と冠攣縮性狭心症に分けられる。

【検査・診断】
虚血性心疾患の検査・診断には、心電図、心臓超音波検査、画像検査(CT、MRI、心筋シンチグラフィなど)、採血(心筋逸脱酵素など)がある。侵襲的ではあるが、最も確定的な検査は冠動脈造影検査となる。

【治療】
高血圧糖尿病脂質異常症喫煙などに対する薬物療法・生活指導に加え、抗血小板薬を含む薬物療法が重要になる。心筋梗塞を発症したときには、緊急でのカテーテル治療(経皮的冠動脈形成術)が施行される。その他の虚血性心疾患(狭心症や不安定狭心症)に対しては、症状や薬物療法の状況・心筋虚血のリスクなどに応じて再灌流療法(血行再建術)の適応が判断される。

執筆: 松岡由典

京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野

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