PCR検査

PCR検査（ぴーしーあーる検査、polymerase chain reaction）とは、対象となるウイルスや細菌の遺伝子が含まれているかを調べる検査である。正式名称は「ポリメラーゼ連鎖反応」という。

【検査の目的】
特定の遺伝子配列を増幅させることができるため、検体中に含まれるウイルスや細菌の量が微量であっても、目的の微生物が存在するかを診断することが可能となる。
※新型コロナウイルス感染症の場合、SARS-CoV-2に特異的なRNA遺伝子配列を増幅し、これを検出するために用いる。

・PCR検査を使用するもの
COVID-19、インフルエンザ、結核菌、クラミジア、淋菌など

【禁忌】
検体の採取が困難である場合。
頭蓋底骨折や採取部位の損傷があるときなどは鼻咽頭スワブによる採取は避ける。

【検査の準備】
検体採取部位に応じた準備が必要となる。
唾液検体の場合は、検体採取前の飲食や歯磨きは控えてもらう。

【検査の手順】
検体の採取には、主に鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、唾液、喀痰などがある。

（1）鼻咽頭ぬぐい液
スワブを鼻咽頭まで挿入して数回擦過する。

（2）鼻腔ぬぐい液
スワブを鼻孔より2cm程度挿入して鼻腔壁に軽く当て5回程度回転させ、5秒程度静置する。

（3）唾液
1～2分ほど唾液を溜め、メーカー指定のスピッツに所定量の唾液を入れる。

【検査結果の注意点】
対象とする遺伝子や検体の採取方法によって感度・特異度は異なる。また、有病率によって陽性適中率が変わるため、その結果の解釈には注意が必要である。

【引用・参考文献】

1）藤本秀士ほか．吉田眞一ほか編．核酸増幅法．戸田新細菌学．改定34版．南山堂，2013，1000．
2）新型コロナウイルス感染予防対策についてのQ＆A．日本疫学会．
3）Lauren M Kucirka et al．Variation in False-Negative Rate of Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction-Based SARS-CoV-2 Tests by Time Since Exposure．Ann Int Med．173（4）,2020，262-267．
4）高木 康．検体検査の基礎知識．新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版．看護roo!．