最終更新日 2019/07/05

淋病

淋病とは・・・

淋病(りんびょう、gonorrhea)とは、淋菌による性感染症(STD)の一つである。淋菌感染症、淋疾ともいう。

感染の原因は、性交や性交類似行為で淋菌に感染することである。淋病はヒトからヒトに感染し、男女ともに罹患する。また、分娩時の産道感染で母子感染も報告されている。

淋病は完治しても免疫を獲得することができないため、何度でも再感染する。

【症状】
女性の淋菌感染の多くは性交後2~数日後に発症するが、軽症または無症状なことが多い。子宮頚部の粘膜感染により子宮頚管炎、尿道炎、バルトリン膿瘍となると、膿性帯下や排尿痛などの症状が見られる。未治療の場合、骨盤内腹膜炎に至ることもあり、不妊の原因となる場合がある。

男性の場合は性交後2~9日より発症し、主に淋菌感染による尿道炎や精巣上体炎となる。膿尿、片側の睾丸腫脹、疼痛を認める場合は淋菌感染を疑う。女性と比較して自覚症状が強く出やすいが、無症状の場合もあるため感染源となることがある。

生殖器以外の感染臓器としては、直腸咽頭がある。治療を行わず放置すると、菌が血液に乗って全身を巡るため、全身症状に進展することもある。主に心筋炎、腱鞘炎関節炎皮膚炎などを引き起こす。

【検査・診断】
診断には酸増幅検査(NAAT)またはグラム染色 が有用である。核酸増幅検査では、女性の場合は膣のスワブ(ぬぐい液)、男性の場合は尿の検査を行う。グラム染色は、尿道炎の男性患者の淋病の予測診断として用いることができ、顕微鏡でグラム陰性双球菌を認めれば淋病を疑う。

なお、淋菌は環境の変化に弱く容易に死滅してしまう。特に低温に弱く、検体を冷蔵保存してはならない。そのため、検体は慎重に扱い、速やかに検査する必要がある。

【治療法】
治療としては、スペクチノマイシン、オフロキサシン、ビブラマイシン、セフィキシム、セフトリアキソンなどの抗菌薬が用いられている。
しかし、淋菌では耐性菌が増えていることが問題になっている。国や地域によって耐性菌の検出率は異なるが、近年はニューキノロン系薬に対する感受性の低下が顕著になってきているという報告もあり、注意が必要である。

淋病は再感染を繰り返すことが多いため、患者だけでなくパートナーの治療を同時に行うことが大切である。

【予防】
性的接触時には、必ずコンドームを使用するよう患者に教育する。また、患者だけでなく、パートナーにも早期の診断と治療を行うことで再感染を防ぐことができる。


引用参考文献
1)“淋菌感染症とは”.国立感染症研究所.
2)“淋菌感染症 Gonococcal infection”.東京都感染情報センター.

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