最終更新日 2018/02/21

生理食塩水

生理食塩水とは・・・

生理食塩水(せいりしょくえんすい、normal saline〈NS〉)とは、0.9w/v%食塩水のことで、蒸留水に9gの塩化ナトリウムを加えたものである。

生理食塩水ではナトリウムイオン、塩素イオンともに154mEq/Lの濃度で、その浸透圧は人間の血清とおおよそ同程度になっている。生理食塩水を血管内に投与すると、およそ20~25%が血管内にとどまる。晶質液(crystalloid)と言われ、細胞外液として世界中で広く用いられている。

ただし、生理食塩水の静脈への過量投与は、代謝性アシドーシスと高ナトリウム血症を誘発するため、注意が必要である。これらの合併症を減らすため、晶質液として大量に輸液が必要な場合は、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液などが、生理食塩水に代わり用いられることが多くなってきている。

生理食塩水は、静脈投与以外にも、浸透圧が血清浸透圧と同程度であるため、刺激が少なく、傷や粘膜の洗浄、眼の湿潤保持などに用いられる。

【効果・効能】
2017年10月現在、生理食塩水500mLの薬価は149円である。生理食塩水の添付文書上の効能・効果は、以下の通りである。
・細胞外液欠乏時、ナトリウム欠乏時、クロール欠乏時
・注射剤の溶解希釈剤
皮膚創傷面・粘膜の洗浄・湿布、含嗽・噴霧吸入剤として気管支粘膜洗浄・喀痰排出促進
・医療用器具の洗浄
なお、生理食塩水よりも塩化ナトリウムの濃度が低い食塩水を低張食塩水、高い食塩水を高張食塩水と呼ぶ。

執筆: 瀬尾龍太郎

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター医長

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