最終更新日 2018/01/29

もやもや病

もやもや病とは・・・

もやもや病(もやもやびょう)とは、 ウィリス動脈輪周囲の主幹動脈(両側の内頸動脈終末部)が進行性に閉塞または狭窄するために、周囲に側副血行路として異常な血管網(もやもや血管)を生じる疾患である。日本人やアジア人に多く、日本で最初に報告された。血管撮影でこの血管網がもやもやした像に見えることから命名され、日本語の「もやもや病」が国際的に受け入れられている(Moyamoya disease) 。10歳以下の小児と30~50歳の成人で発症することが多いが、半数は15歳以下である。指定難病である。

症状は、もやもや血管が細く、脆弱であるために起こる脳虚血と脳出血が主である。熱い麺類を吹き冷ます、吹奏楽器を吹く、強く啼泣するといった過換気状態になると、血中の二酸化炭素濃度が減少して脳血管が収縮するため、細いもやもや血管からの血流が確保できなくなり、脱力発作やけいれんなどの一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)が起こる。

虚血が強ければ脳梗塞となることもある。また、もやもや血管そのものが破裂して脳出血を起こすことがあるほか、脳底動脈の閉塞により血流が増加し、それにより生じた動脈瘤が破裂して脳出血を起こすこともある。小児では脳虚血(脳梗塞やTIA)、けいれんの発症がおおく、成人例では脳出血が多い。
治療は、基本的には抗けいれん薬や抗血小板薬などでの内科的治療のほか、浅側頭動脈と中大脳動脈を吻合するバイパス術も選択されることがある。

執筆: 石田 光

元 神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター

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