最終更新日 2018/01/09

紫色採尿バッグ症候群(PUBS)

紫色採尿バッグ症候群(PUBS)とは・・・

紫色採尿バッグ症候群(ししょくさいにょうばっぐしょうこうぐん、purple urine bag syndrome〈PUBS〉)とは、採尿バッグ(蓄尿バッグ)が紫色に染められる現象のことである。
主に、長期病臥中で尿道カテーテルを長期留置している患者にみられ、女性に多い。また、尿道カテーテルの長期留置・慢性便秘・尿路細菌感染が重なると、多くみられるようになる。

【発生機序】
主な機序としては、慢性便秘により腸内細菌が異常増殖し、必須アミノ酸であるトリプトファンがインドールに分解される。腸から吸収されたインドールは肝臓でインジカンに分解され、尿中に排泄される。ある種の細菌による尿路感染を伴うとインジカンはインジゴブルーやインジルビンなどの色素に変化し、それらの色素がプラスチックやポリマーに溶け込む性質があるため、採尿バッグが変色する。この時、尿はアルカリ性を示し、変色の発生機序と関係がある可能性が指摘されている。尿自体の色は淡黄色だが、採尿バッグやカテーテルは紫に変色し、悪臭を放つ。

【治療】
PUBS自体は治療の対象とはならないが、その背景にある慢性便秘や寝たきり状態、カテーテル長期留置、尿路感染などに対する適切な対応が重要である。

執筆: 小林 実

宇都宮記念病院 泌尿器科科長

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