循環器系のしくみとはたらき

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。
今回は循環器系のしくみとはたらきについて解説します。

 

中嶋ひとみ
新東京病院看護部

 

〈目次〉

 

 

循環器系って何だろう?

循環器系とは、血液やリンパ液を体内で循環させることで、酸素や栄養素を運搬したり、老廃物の回収を行うシステムのことです。循環器系は外界から隔離された閉鎖回路となっています。

 

循環器系は、心臓動脈、静脈、毛細血管、リンパ管で構成されています。

 

血液は成人では約5L(全体重の約8%)で、全血液は約1分間で体内を一巡します。よって心拍出量は約5L/分となります。

 

 

 

循環システム:体循環と肺循環

血液の循環には、体循環大循環)と肺循環小循環)があります(図1)。

 

図1体循環と肺循環のしくみ

体循環と肺循環のしくみ はたらきと循環経路

 

※1 ガス交換

 

 

 

全身の血液分布

心臓が1分間で送り出す血液量を心拍出量といい、安静時に約5L/分を送り出しています(図2※2※3

 

運動時の心拍出量は約25L/分と5倍近く増加し、おもに骨格筋の血流が増加します。

 

組織の必要量に応じて、送り出す血液量を調節しています※4

 

図2循環器系の構成・はたらきと血液分布

循環器系の構成・はたらきと血液分布

 


[memo]

  • ※1 ガス交換(上へ戻る
    毛細血管内の血液と肺胞との間で、酸素と二酸化炭素の交換を行うこと。
  • ※2 血液を循環させるしくみ(上へ戻る
    血液の循環は、心臓の収縮、動脈の弾力、静脈還流によって維持されている。動脈の弾力のおかげで、心室拡張期でも血圧が一定に保たれている。
  • ※3 血圧の呼び方(上へ戻る
    心室収縮期圧を最大血圧、心室拡張期圧を最小血圧と呼ぶ。
  • ※4 全血液量(上へ戻る
    全血液量は約4,500mLであり、その内訳は、約900mLが動脈血、約3,600mLが静脈血となっている。
    約900(動脈血)mL+約3,600(静脈血)mL=約4, 500mL(全血液量)。

 


文献

  • 1)医療情報科学研究所編:病気がみえる vol.2 循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017:2-29.
  • 2)稲田英一,医療情報科学研究所:イメカラ 循環器 ̶イメージするカラダのしくみ.メディックメディア,東京,2010:2-19.
  • 3)堀正二監修,坂田泰史編:図解 循環器用語ハンドブック 第3版.メディカルレビュー社,東京,2015.
  • 4)小澤瀞司,福田康一郎監修,本間研一,大森治紀,大橋俊夫 他 編:標準生理学 第8版.医学書院,東京,2014:632-654.
  • 5)坂井建雄,河原克雅編:カラー図解 人体の正常構造と機能 【全10巻縮刷版】 第3版.日本医事新報社,東京,2017:82-107.
  • 6)増田敦子編著:身体のしくみとはたらき̶楽しく学ぶ解剖生理.サイオ出版,東京,2015.
  • 7)大谷修,堀尾嘉幸:カラー図解 人体の正常構造と機能 第2巻 循環器 第3版.日本医事新報社,東京,2017:82-107.

 


本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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