弾性ストッキングの装着方法 | 深部静脈血栓症対策【1】
【監修】
京都中部総合医療センター 看護部
「弾性ストッキング」の目的
他動的な静脈周囲からの圧迫により静脈血流を改善し、深部静脈血栓症を予防すること
「弾性ストッキング」の必要物品
- 弾性ストッキング
- メジャー
「弾性ストッキング」の装着手順
(1)患者さんにとって弾性ストッキングが最適な圧迫療法であるかどうかをアセスメントする
■メリット■
- ずれにくい
- 静脈血流の改善効果は高い
■デメリット■
- 接触性皮膚炎を起こしやすい
- 規格が決まっている
- 圧迫により潰瘍形成のリスクがある
(2)患者さんの体格に合った弾性ストッキングを選択する
⇒足首周径とふくらはぎの最大周径を計測し、十分な効果を発揮できるように腓腹筋のもっとも太い部分を参考にして適切なサイズを選択する
■ポイント■
弾性ストッキングの種類は2種類あるので、ケースによって使い分ける
・ヒザまでの丈の弾性ストッキング
・大腿部までの長さの弾性ストッキング
「弾性ストッキング」の装着方法
(1)履き口からかかとまでを縮める
(2)つま先を奥まで挿入し、先端を合わせる
(3)踵をしっかりくぐらせ、位置を合わせる
(4)たるみ・シワ・よじれがないよう注意しながら、ひざまで引き上げる
(5)1日1回以上、弾性ストッキングを脱いだ状態で観察する
⇒合併症の早期発見のためには皮膚状態の観察が重要となる
「弾性ストッキング」装着患者さんへの観察ポイント
■深部静脈血栓症のリスク因子の確認■
- 体格
- 性別
- 年齢
- 患者の基礎疾患
■着用前の皮膚状態の確認■
- 皮膚トラブルの有無
- るい痩による褥瘡形成のリスク
- 浮腫の有無
■着用による圧迫症状の確認■
- 血行状態の観察
- 皮膚状態の観察:血色、チアノーゼの有無、発赤、びらんや水疱の有無、足背動脈の触知の有無と左右差の確認、掻痒感の有無など
- ストッキングの状態の観察:皮膚への食い込み、上端・下端の丸まり、上端に締めつけているものはないかなど
- 神経上場の観察:痛み、しびれの有無
- 検査結果の確認:超音波検査、血液検査など