「喘息発作の喘鳴」と「心不全からの喘鳴」。どうすれば見きわめられる?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載。一部改変。
今回は喘鳴の原因が喘息発作心不全かの見きわめ方について解説します。

 

山部さおり
三菱京都病院 看護部 師長/慢性心不全看護認定看護師

 

「喘息発作の喘鳴」と「心不全からの喘鳴」。どうすれば見きわめられる?

 

問診とフィジカルアセスメントや検査データから見きわめます。ポイントとなるのは、随伴症状、呼吸音を含むバイタルサインです。

 

 

気管支喘息では、アレルゲンや粒子などの刺激に反応し、気管支平滑筋が過剰に収縮します。平滑筋収縮が反復すると咳嗽が起こります。平滑筋収縮が持続し、気道が狭窄すると、息苦しさ、呼吸困難、喘鳴が現れます。

 

心不全では、肺胞内分泌物の増加や気管支粘膜のうっ血、気管支けいれんなどによってしばしば喘鳴を生じます。このような状態は心臓喘息とも呼ばれ、一般的に急性心不全肺水腫を伴う場合)でみられます。

 

問診

まず、症状をオープンクエスチョンで、自由に表現してもらいます(表1)。

 

表1 表現と病態生理

表現と病態生理

 

また、以下の質問から、症状の出方・随伴症状を確認します。随伴症状は、疾患の予測に役立ちます。浮腫易疲労感食欲不振体重増加は、心不全を示唆します。
①季節によって症状が強くなる?(Yes=気管支喘息)
②1日のうちに症状が変動する?(Yes=気管支喘息)
③激しい運動で症状が出る?(Yes=気管支喘息)
④症状が起こるのは運動時だけ?(No=心不全)
⑤仰臥位になると症状が悪化する?(Yes=心不全)
⑥就寝後1〜2時間で苦しくて座位をとる?(Yes=心不全)

 

 

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バイタルサイン

1 呼吸

通常、成人の呼吸数は12~15回/分です。喘鳴があるほどの呼吸不全では、代償機転により、一回換気量と呼吸数が増加します。

 

健康な成人の呼吸形態は、吸気:呼気=1:1.2~1.5です。気管支喘息の場合、呼気相が延長します。

 

気管支喘息やうっ血性心不全では細かい気道の狭窄を示唆するwheeze(ウィーズ、呼気時のヒューヒューという高音)が聴かれます。一方、肺炎や肺水腫では、分泌物が呼吸に伴ってはじけるcoarse crackles(コースクラックルズ、吸気初期~呼気初期の断続的なパチパチという粗く、やや長く低い音)が聴かれます。

 

2 循環

高血圧は、心不全(特に拡張不全)の重要所見、頻脈は心不全の代償機転として起こる交感神経の亢進です。重篤な心不全の徴候として、交互脈(RR間隔は一定だが、一回拍出量が心拍ごとに規則的に増減し、強脈と弱脈を規則的に繰り返す)があります。

 

***

 

上記のほか、X線写真や検査データなども、見きわめに役立ちます。

 

 

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引用・参考文献

1)大西勝也:「息切れ」を極める!.メディカ出版,大阪,2015.

2)稲田英一 監修:呼吸・循環イラストレイテッド.学研メディカル秀潤社,東京,2010.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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