妊娠中期に活用できる母子保健制度

『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は妊娠中期に活用できる母子保健制度について解説します。

 

花原恭子
聖泉大学看護学部講師

 

 

 

妊産婦健康診査(母子保健法第13条)

市町村は、妊産婦または、乳児・幼児に対して、健康診査を行い、または健康診査を受けることを推奨しなければならない。

 

妊婦健康診査受診票(補助券)とは

定期的な妊婦健康診査は検査内容や施設にもよるが、一般的に1回の健診費用が3000円から1万5000円程度必要になる。14回程度の健診費用はおおよそ10万~ 15万円にもなり、妊婦にとって大きな負担となる。そこで、国からの助成金と地方交付税によって、健診1回当たりの費用を軽減する妊婦健康診査受診表(補助券)を利用すれば、自治体によって公費負担額の差があるが経済的負担が軽減される。母子健康手帳と共に取得できる。

 

 

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妊産婦の訪問指導(母子保健法第17条)

市町村は、健康状態に応じて保健指導を要する者に、医師・助産師・保健師またはその他の職員が訪問して指導を行い、妊娠や出産に支障を及ぼす疾病の恐れがある場合は、医師や歯科医師の診療を受けることを推奨する。

 

 

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保健指導(母子保健法第10条)

市町村は、妊産婦・配偶者・乳幼児の保護者に対して、妊娠、出産または育児に関して必要な保健指導を行い、または保健指導を受けることを推奨しなければならない。

 

 

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母親(両親)学級(母子保健法第9条)

都道府県および市町村は、母性または乳幼児の健康の保持及び増進のために、妊娠・出産・育児に関して、相談に応じ、個別的または集団的に、必要な指導や助言を行い、知識の普及に努めなければならない。

 

 

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産科医療補償制度

分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児とその家族の経済的負担を補償し、脳性麻痺発症の原因分析を行い、再発防止への情報を提供することなどにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上をはかることを目的としている。分娩を取り扱う医療機関が加入する制度である。

 

産科医療補償制度

2015年に除外基準が変更され、先天性の要因(遺伝子異常など)、新生児期の要因(分娩後の感染症など)、妊娠もしくは分娩中における妊産婦の故意または重度な過失、非常事態(地震・噴火・津波等の天災または戦争・暴動など)、また、生後6か月未満で死亡した場合は補償対象とならない。満5歳の誕生日まで申請可能で、補償対象と認定された場合は、総額3000万円の補償金が支払われる。
また、2022年には、補償対象基準の個別審査が廃止され、在胎週数が28週以上であることが基準となった。

 

 

 

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引用文献

1)厚生労働省:妊娠等を理由とする不利益取り扱いに関する調査の概要、2019年12月5日検索

2)尾保手正成:全ての座席のシートベルトの着用とチャイルドシートの使用の徹底、人と車、54(8):4~ 12、2018

3)厚生労働省保険局:高額療養費制度を利用される皆様へ、2019年12月27日検索

4)厚生労働省:平成30年度雇用均等基本調査(速報)、2019年11月21日検索

参考文献

 


 

本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版

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