低血糖|胎外生活不適応状態へのケア②

『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は胎児期の低血糖ケアについて解説します。

 

立岡弓子
滋賀医科大学医学部看護学科教授

岡山久代
筑波大学医学医療系教授

 

 

低血糖

胎児期は、母体の血糖値の約70%程度の血糖を保っている。インスリンは母体から胎盤を通過しないため、胎児自身が血糖コントロールを行っており、母体の血糖の状態が出生後の新生児の糖代謝に影響を与えることになる。

 

血糖測定が必要なケース

①SGA(small for gestational age):身長も体重も10パーセンタイル未満
②LGA(large for gestational age):身長も体重も90パーセンタイル以上
③低出生体重児
④母体糖尿病児
⑤呼吸障害がみられた児

 

低血糖の定義

<出生後72時間以内>
・低出生体重児:<20mg/dL
・成熟児:<30mg/dL

 

<出生後72時間以上>
 ・低出生体重児、成熟児ともに<40mg/dL

 

現在では、低血糖の定義にとらわれず、新生児の日齢や正期産児、早産児、低出生体重児にかかわらず40mg/dL以下にならないように管理することが目標とされている。

 

出生後の血糖値

出生直後は、呼吸・循環動態の適応状態、体温調節、低酸素などのストレス回避のために、多くのエネルギー消費を必要とする。さらに、母体からの糖の供給がなくなるため、一過性に低血糖になりやすい(図1)。

 

図1 出生後4時間の血糖値の変動

出生後4時間の血糖値の変動

(Cornblath, M. & Schwartz, R:Disorders of Carbohydrate Metabolism in Infancy. 3rd ed. W.B. Saunders, 1991より改変)

 

低血糖の症状

①けいれん
②冷汗
③振戦
④甲高い泣き声
眼球上転
傾眠傾向
⑦無呼吸

 

 

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必要な処置

早期に授乳(ミルクの投与)を行う。もしくは、グルコースの点滴を行う。

 

<低血糖が検査上診断された場合>

グルコース輸液4~6mL/kg/分にて投与を開始し、血糖値が正常になるまで2mL/kg/分ずつ増加していく。

 

<低血糖の症状がみられた場合>

10%グルコース2~4mL/kgを静注で投与し、その後すぐに6~8mL/kg/分の輸液を行う。

 

血糖値の測定(図2

1ランセット(ヒールカット用のメス刀)にて足底をカットする。

2血糖測定器専用のグルテストセンサーに血液を染み込ませる。

 

図2 血糖値の測定

血糖値の測定

足底をカット(左)、グルテストセンサーで測定(右)

 

 

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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版

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